終末期の患者さんは、スピリチュアルペインといって、自分は何のために生まれてきたのか、何のために死ななきゃいけないのか、死んだらどこへ行くのかというような「生の意味」などへの問いと無縁ではいられません。ある30代のがん患者さんはトップセールスマンで、妻子を顧みず、仕事に全力を傾注していた。それなのに、がんで死ぬ。「自分の人生は何だったのか」と彼は苦しみました。でも結局「自分は売ったものを通して、誰かの幸せに役立てたのだろう」と、最後は人生に肯定的な意味を与え、亡くなりました。終末期の患者さんのそばにいると、こちらの尺度も変わります。人生が終わることを意識している人は、人の役に立ちたいと願っており、世間一般の成功とかお金では救われないことを知っています。死という視点を導入することで、限られた生の中で自分はどうやったら心が充足されるのかという、新しい軸が生まれてくるのです。